世界に先駆けてリアルな「3Dデジタル生物標本」を1400点以上公開

 九州オープンユニバーシティ理事の鹿野雄一が「バイオフォログラメトリ」と銘打った、水生生物を中心に1400点700種以上の生物標本の3Dモデルを世界に先駆けてオンライン公開しました。(公開ページはこちら

 生物標本は生物を研究する上で重要な役割を担っており、博物館等で保管されています。しかしその管理は煩雑で、くわえて標本の劣化や退色は免れられません。また、多くの重要標本は厳重に管理されますが、それが故にアクセスが困難で、結局あまり利用されないといったジレンマも抱えています。

 鹿野は世界に先駆けて独自かつシンプルなフォトグラメトリの手法を開発し、今回の公開に至りました。
 本研究ではフォトグラメトリ(被写体を様々な角度から複数撮影することで3Dモデルを構築する手法)により、生鮮時の立体的でカラフルな状態での生物標本を3Dモデル化されており、公開された3DモデルのほとんどはCC BY 4.0ライセンスの下、誰でも自由にダウンロード・利用できます。

 今回公開されたような生物3Dモデルは生物学のみならず、様々な分野に応用できると考えられます。例えば生物図鑑は現在2次元画像ですが、将来的には、3Dモデルによるデジタル図鑑へと変容していくと考えられます。また、生物多様性・環境教育などに関するメタバースやバーチャルリアリティにもこれら3Dモデルが利用できるでしょう。


 本研究の詳細は、ブルガリアのPensoft Publishersが出版する国際誌「Research Ideas and Outcomes」に2022年8月8日(月)付けで掲載されました。

3Dモデル公開リンク
ffish.asia / floraZia.com (@ffishAsia-and-floraZia)(Sketchfab)
報道
世界に先駆けてリアルな「3Dデジタル生物標本」を1400点以上公開(九州大学)
ABEMAヒルズ|最新NEWS-「リアルすぎる」”3Dデジタル生物標本”公開(ABEMA)


用語解説
(※1) フォトグラメトリ
説明・・・被写体をあらゆる角度から写真撮影し、その画像を解析、統合して立体的かつカラフルな3Dモデルを作成する方法

論文情報
掲載誌:Research Ideas and Outcomes
タイトル:Bio-photogrammetry: digitally archiving coloured 3D morphology data of creatures and associated challenges
著者名:Yuichi Kano
DOI:10.3897/rio.8.e86985

本研究に関するお問い合わせ先

鹿野 雄一 kano@species.jp